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Topic 04: クッションを前置きすることが大事

こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。

グローバルでも、多国籍でも、国際的にビジネスを展開する、

国際派ビジネスマンのためのシリーズ第4弾。 

現役通訳者によるビジネスコミュニケーションのコツの伝授!

イギリスでビジネス、コミュニケーションを成功させるために避けては通れない!「クッションことば」をマスターすることについて、今日はお話しします。

先日、日本からイギリスに進出することを計画している企業のお客様の、取引先銀行へのやり取りに帯同させていただくというお仕事がありました。なかなかの大きな事業のようです。

イギリスオフィスの事務所に勤務しているスタッフの方々は、在英歴の長い方もいれば、今回の進出のために日本から駐在でいらしている方もいらっしゃいました。

日本の経営の責任者がイギリス現地の銀行に実際足を運んで手続きをしなければならない事があります。詳細に言及することは避けますが、電話やメールだけではすまない手続きもあるであろうことは、このブログをお読みいただいている経営者の方にも、容易に想像していただけるのではないかと思います。

この会社のメインで渉外を担当されている上層部の方が同席されており、その方が普段は大事な部分のやり取りをされているということでした。べつに通訳は必要ないのに、という感じだったのではないでしょうか。

今回、私が依頼されたのは、銀行側からイギリスで信頼・確立されている業界団体から認定されている通訳者を連れてくるよう要請があったからでした。

ということですので、当然、認定されていることを証明しなければならなかったわけで少々手間でしたが、やはり相手が銀行ですから、念には念を入れて、与信も身元もチェックる必要があるのは当然で、銀行がこだわったのは至極真っ当なことと言えますね。

それで、クライアントの取引先となる銀行にて、さまざまな確認事項を順を追って、相互に理解されているか、双方で確認できるよう、やり取りが展開されていきました。

まずは、日本側の英語の達者な方(先ほど触れたメインの渉外担当の方)が、直接英語で話し始めました。

そういう時に、

いやいや私が通訳ですから私にしゃべらせてください、私が訳します!

なんて無粋なことは、私は思ったことはないですし、言ったこともありません。

会話が進んでいく中で必要な段になったら通訳すればいいか、とあくまでお手伝いですから、

黒子ですから、スタンバイしておりました。

すると途中で、その方が、

じゃあ通訳してもらおうかな?(せっかく来てもらったのだし…?)

とおっしゃるので、そこからは、逐次通訳 *して差し上げました。

Contents

*「逐次通訳って何?」という方はFAQをご覧ください!

 

ほどなくしてすべて手続きが完了し、通訳を終え、銀行を後にしました。

そこからオフィスに帰るまでの道中、

へえ、ああやって、やわらかい表現を使うんですね~!和らげるフレーズで…。

いやぁ、とても勉強になりました!

とおっしゃっていただきました(嬉)(自慢をしたかったわけでもなんもなくて…)

何を隠そう、私もイギリスに来たばかりのころ、

すでに通訳をして10年近くの経験がありましたので、

英語を使ったコミュニケーションは十分に慣れていたつもりでしたが、いやいや何が何が…。

「やはり、ところ変われば品変わるのだな」ということをイヤというほど叩き込まれました。

いわゆるカルチャーショックですね。

結局、私も、このお客様と同じように、ひとつひとつ覚えていくしかなかったわけです。

では、具体的にはどんなことがあったか、というと、

イギリスに暮らし始めて最初に気が付いたのは、前ふりなし用件だけを口にすると、相手の顔色が変わることがある、ということ。

ロンドンを訪れる日本人観光客の様子を観察していても、店の店員などの顔色が変わっていることに気づかない様子の人がいます。そういう方(観光客)が多いところを見ていると、敏感な人でなかったら、相手の顔色の変化にはあまり気づかないのだと思います。

私見ですが、西洋人(?)のほうが極東出身の人間(日本人など)に比べると表情豊かでにこやかなので、こちらとしては相手のネガティブな心の変化に気づきにくいかも知れません。

相手もあからさまに嫌な顔をするほど無神経ではありませんし。

逆に、他の人とのやり取りをしている時の相手の表情とその人が自分と接するときの表情を観察していると、その人の自分に対する態度?表情?がなんとなく固い時があるはずです。注意して見ていればやがて気が付くはずです。

お互いに失礼なことをしているつもりはなくても、ことばのうえでの距離感の取り方とでも言いましょうか、気を遣うところが日本語(日本文化)と英語(イギリス文化)では大きく違うことが結構あり、それで齟齬(食い違い)が起きてしまうことがあります。

もちろん、日本もイギリスも同じ島国同士だからなのか似ているところもあります。ところが、島国同士だからこそ(?)こんどは独特の文化がお互いにあるともいえるのです。

それが原因なのか、否か…。

「えー、こんなところにも気を使って話すの??」

とおもう場面に出くわしたこともあります。

たとえば、イギリス人は自分の子供にまで(日本人の私の感覚からすると)すごく気を使って話をする気がします。相手(=子供)が傷つかないように、それはそれは注意深く考えてことばを選んで、話をしている親子のやり取りを見かけます。

私はあんなに自分の子供に気を使って接したことはないな」と半ば呆れつつ、同時に感心しつつ、そして親としての自分を反省しつつ…。

このように、相手の気持ちをいたわることばでワンクッションを置いて

相手との間合いを調整してから、本題に入るわけです。

こういう緩衝材の役割を果たすことばを、私は

「クッションことば」

と呼んでいます。

「クッションことば」がないと、角が立ちます。というか、角が立ちやすいです。

そうすると、たとえこちらは自覚がなくても

「この人のお願いなんて絶対にきいてあげないもんね(怒)」

心のなかで誓いを立てられてしまうかもしれませんよ(苦笑)

 

まあ、そこまではいかなかったとしても、いきなり用件から切り出したら

相手が混乱したり、意図を図りかねて困惑することだってあり得ます。

お小言や悪い知らせの告知は、クッションことばでサンドイッチ

たとえば、部下にお小言を言わなければならないとき、英語の世界ではまず相手をほめます

それから 落とす

そうです 「ほめて、落とす」です(失笑)

 

  1. 上司の部屋に呼ばれてドアを閉められ、
  2. つぎに粛々とほめられたら、
  3. 次はどんな悪い知らせが待っているか…

聞いている本人は気が気でないという具合です。

 

海外のドラマなどを見ていても必ずこのパターンです。

今度、海外ドラマを見るとき注意して見てみてください。

それほどに「持ち上げて、落とす」は定型です。定石です。

(これはイギリスでもアメリカでも同じ。)

 

何を言うためにこの話をしたか、というと、

この「持ち上げる」という段階をすっ飛ばして、

いきなり悪い知らせから話を切り出す人はいないということ。激しくNGです。

いたとしても、それは

そのひとの人格を疑われますし、

品位を損ないますし、

を作ります。

※お小言も悪い知らせの部類に入ります。

 

日頃の「お茶いる?」的な会話でもしかり。

「お茶いる?」

「いらない。」

家庭ならこれで通ったりしませんか?

ところが、英語では礼儀として、

相手が気遣ってくれたことに対してお礼することを忘れてはいけません!

だから、英語の授業で、断るときは ”No. Thank you.” と言いましょうと教わったのです。

「ノーサンキュー」ではない。

意味として、NOと「でもありがとう」の二つのメッセージが含まれているのです。

そして、もうちょっと丁寧に断るなら、

“I have to get going, so, no – but THANK YOU so much for asking.”

(意訳: 今から出るところなので、結構です…。でもお心遣いに感謝します、ありがとう。)←ほんとは行くところなんてなかったりしますが、嘘も方便です。

そう「嘘も方便」です。繰り返してしまいましたが、理由があります!

これ、私は慣れるまでに ずいぶんと 時間がかかりました。

だって、どんなに悪気がなくなって、方便だったって、ウソはウソじゃないですか(笑)

「ウソをつくくらいなら正直に本当のことを言えばいいのに」

と考えるほうなので、心が小さく傷ついたり、理解に苦しんだこともありました。

先ほど、相手の気持ちをいたわることがいかに大切か、と書きました。

「嘘も方便」――じつはここにつながってくるのです!

ウソを言うのは自己弁護だけではない。

相手の気持ちをいたわることに他ならないようです。

「あー忘れてた、今日だった?ごめん、行けないわー(汗)」

と言ってしまえばいいところを「子供が熱が出た」とか「電車がキャンセルになった」とか、

彼氏が風邪を引いた」とかそれはもういろいろと「言い訳の引き出し」から出てきます。

とまあ「相手の目の前で、面と向かって失礼をする」ことが、こ・れ・ほ・ど・ま・で・にタブーですので、こちらも「郷に入っては郷に従え」です。

間違っても、じゃあウソをつきましょう!ということではありません(失笑)

相手の顔に泥を塗ることは絶対に避けないといけない文化であることを頭の隅にしっかりと置いて言いにくいことを告げるときや、相手が喜ばないことを伝えなければならないときには、しっかりと「クッションことば」を用意して、事柄の後ろ緩衝材サンドイッチしてから、伝えてあげるようにしてみてくださいね。

そうしないと「なんて失礼な、無神経な人」と嫌われてしまうかも知れませんよ!

イギリスでは、いろんな場面で照会状(Reference=レファレンス)が必要となります。

「誰を知っているか」

「誰の推薦か」

「誰が自分のために動いてくれるか(家族もそのうち)」

非常に重要です。大きなカギを握っています。

お金がたんまりとあれば確かに人も物事もある程度は動かせるのですが、それ以上に動いてもらおうと思ったら相手の心を動かす必要があります。

目下の人間でも、その人に心の底で

「この人のお願いなんて聞いてやるもんか!」

と思われていませんか?

こう思われたら、本当に損です。

どんなやわらかい言葉でも、知恵を総動員して、やんわりと、しかしはっきりと断られます。

目上でも社長でも関係ありません。

こうなったらその人はテコでも動きませんから、

普段から「クッションことば」に磨きをかけて、相手が社内の部下でも、外部の下請け会社の担当者であっても相手の気分を害さないようによい関係を構築してくださいね!

 

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