こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
同時通訳は高く、逐次通訳は安い?
日本の通訳市場の特徴のひとつとして、逐次通訳の料金が同時通訳よりも安いことが上げられます。
逐次通訳と言われて仕事の現場に着いて蓋を開けてみたら、じつは同時通訳案件だった!😱なんて事があります。
そもそも逐次通訳って何?同時通訳って何?と思われる方は「よくある質問」で解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
さらには、逐次通訳で発注してあるにもかかわらず何故かお客さんが同時通訳の簡易機器を持ってきているような場合も(😈悪質!)
あるケースでは、当日になってからアジェンダが変更されており、逐次通訳で対応していたら絶対に時間内に終われない進行表になっていたのですが、あまりにも無理な詰め込み式で、こちらから「じゃあ同時通訳で対応します」とでも言って欲しそうな顔をしていらっしゃる。
いやいや、そうはいきません。
日本のエージェントを叩き起こしてでも相談しなおさねければなりません。急いで日本の担当者に連絡を入れました。叩き起こされた方もいい迷惑でしょうが、こちらもたまったものではありません!
なぜこのようなことになったのか考えてみると、いくつか可能性はあるのですが、おそらくエージェントとお客さんとのあいだで、この情報が抜け落ちてしまっているのでしょうね。
意地悪な見方をするとエージェントのほうは、本当はうすうす気づいていたけれどもあえて気づかぬふりをしていた、そんな可能性もあるにはあるのですが…。
そこで「同時は高い、逐次は安い」という変な「常識」が問題になってきます。これは日本固有の「常識」だと思うのです。日本以外の市場には当てはまらない。
それが証拠に、欧州の通訳者の中には逐次通訳の料金の方が同通料金より高い人がいます。けれど、これは決して珍しいことではありません。
通訳は逐次に始まり逐次に終わると言われているほどですが、逐次通訳の特にロング逐次と呼ばれ6~8分(それ以上)に渡る逐次通訳は同時通訳よりも高い通訳能力、集中力も体力も余計に必要となり料金が高く設定されるからです。
「なぜ」日本では逐次通訳の方が料金が安いのか。
エンシェントが併設している通訳学校のレベル構造を見てみると分かるのですが、レベル分けが逐次通訳(スキル)を極めてから同時通訳に進む🇯🇵という構造になっています。
イギリス🇬🇧や欧州の通訳コースでは、逐次も同通も「ほぼ」同時進行で教わります。厳密に言うと、逐次の方が先で同通が少し後ですが、日本の通訳学校のようにキッパリと別階層に分かれてはいません。
日本ではこの考え方が定着しているようですね!そのため、逐次通訳の方が通訳(勉強)経験年数が浅い人、つまり「学年」が低いので、料金も安めになる。同時に比べて逐次の方が安い裏側はこのような事情があるのだろうと私は思います。
私はイギリスを拠点に通訳をして12年になりますが、逐次通訳と同時通訳で料金を分けてはいません。逐次であっても同通であっても、料金は全日料金と半日料金の二段階で設定しています。仕事仲間を見回しても、全日・半日の二段階の人が多数です。
※ 詳しくは「通訳の料金について」をご覧ください。
同時通訳は高い!!
とは限りませんので 😅・・・
まずはご相談いただくのが良いと思います。そして、お問い合わせの際には諸条件(日時、会場などの基本情報ですが、詳しくは下記をご覧ください)とご予算も申し出ていただき、あわせてご相談いただくと、一番間違いがなくて良いと思います。
<お問い合わせの際にお知らせいただきたい基本情報>
- お名前、会社名(部署名)
- 業務の日程と時間
- 場所(会場の住所)
- 通訳形態(同時通訳・逐次通訳・ウィスパリング通訳)
- 会議の形態(講演会・セミナー、ビジネス会議などの形態、また参加者の人数)
- 業界・分野や会議の内容(主旨)
- ご予算
お持ちの案件が「逐次が適しているのか、同通が適しているのかわからない」という場合でもお気軽に「お問い合わせ」よりご相談ください!