こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
同時通訳は高く、逐次通訳は安い?
日本の通訳市場の特徴のひとつとして、逐次通訳の料金が同時通訳よりも安いことが上げられます。
仕事の現場に着いて蓋を開けてみたら、逐次通訳と言われて来ているのにじつは同時通訳案件だった!なんて事があります。
そもそも逐次通訳って何?同時通訳って何?と思われる方は「よくある質問」(https://www.rie.london/services/faq)で解説していますので、ぜひ参考にしてみて下さいね。
さらには、逐次通訳で発注してあるにもかかわらず何故かお客さんが同時通訳の簡易機器を持ってきているような場合も(悪質!)
あるケースでは、当日になってからアジェンダが変更されており、逐次通訳で対応していたら絶対に時間内に終われない進行表になっていたのですが、あまりにも無理な詰め込み式で、こちらから「じゃあ同時通訳で対応します」とでも言って欲しそうな顔していらっしゃる・・・。
いやいやいや・・・。
残念ながらそうはいかないのですよ〜。
日本のエージェントを叩き起こしてでも相談しなおさねければなりません。起こされた方もいい迷惑でしょうが、これは無理が通れば道理が引っ込みますので、致し方ない。
急いで日本の担当者に連絡を入れました。が、日本時間の深夜でしたので電話に返答してもらえず、こちらから打診することを伝えることだけ伝えてメッセージを残し、踏むべきステップを経ることができないまま、不本意な流れのままで同通で対応したことがありますが、これはできれば事前に嗅ぎつけておいて、ちゃんと明確にしておき、予防すべきだったと反省しています。
でも、事前にそういうことをこちらから「まさかこんなことはありませんよね?以前他のお客様でこういうことがあったものですから」とでも申し上げることになるのだと思いますが、もちろん悩みに悩んで言い方は角が立たないように気を遣って言うわけですが、主旨は同じです。いささか気の進む内容ではないですね。
今でも、あれはわたしの方も「できません」と言い通すべきだったのか・・・通訳業界全体に迷惑をかけてはいないか、とも思うことがあります。
なぜこのようなことになったのか?
考えてみると、いくつか可能性はあるのですが、おそらくエージェントとお客さんとのあいだで、この情報が抜け落ちてしまっているのでしょうね。
意地悪な見方をするとエージェントのほうは、本当はうすうす気づいていたけれどもあえて気づかぬふりをしていた、そんな可能性もあるにはあるのですが…。
そこで「同時は高い、逐次は安い」という変な「常識」が問題になってきます。これは日本固有の「常識」だと思うのです。日本以外の市場には当てはまらない。
それが証拠に、欧州の通訳者の中には同通料金より逐次の料金の方が高い人がいます。これは決して珍しいことではありません。
通訳は逐次に始まり逐次に終わると言われているほどですが、逐次通訳の特にロング逐次と呼ばれ6~8分(それ以上)に渡る逐次通訳は同時通訳よりも高い通訳能力、集中力も体力も余計に必要となり料金が高く設定されるからです。
「なぜ」日本では逐次通訳の方が料金設定が安いのか。
エージェントが併設している通訳学校のレベル構造を見てみると分かるのですが、レベル分けが逐次通訳(スキル)を極めてから同時通訳に進むという構造になっています。
欧州の通訳コースでは逐次も同通も「ほぼ」同時進行で教わります。厳密に言うと、逐次の方が先で同通が少し後ですが、日本の通訳学校のようにキッパリと別階層に分かれてはいません。
日本ではこの考え方が定着しているようです。そのため、逐次通訳の方が通訳(勉強)経験年数が浅い人、つまり「学年」が低いので、料金も安めになる。同時に比べて逐次の方が安い裏側はこのような事情があるのだろうと私は思います。(あくまで私の意見・分析であり、個人的な見解です)
私はイギリスを拠点に通訳をして12年になりますが、逐次通訳と同時通訳で料金を分けてはいません。逐次であっても同通であっても、料金は全日料金と半日料金の二段階で設定しています。仕事仲間を見回しても、同時・逐次を分けるかは別として、時間当たりなどではなく全日・半日の二段階の人が多数です。
同時通訳は高い!!
とは限りませんので、まずはご相談いただくのが良いと思います。そして、お問い合わせの際には諸条件とご予算もあわせてご相談いただくと一番間違いがなく、時間効率も良いと思います。
お持ちの案件が「逐次が適しているのか、同通が適しているのかわからない」という方は、お気軽に「お問い合わせ」よりご相談ください。30分の無料相談をご利用いただけます。