こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
Voice 01: 母音の無声化 (キ・ク・シ・ス・チ・ツ・ピ・プ・ヒ・フ・シュ)
今回はアナウンサーや声優など、
声のお仕事、しゃべりのお仕事に携わる人なら知らない人はいない
無声化について。
Contents
通訳者にとって「無声化」がどうして大切なのか
についてお話しします。
その前に、
ボイスオーバーとは?
私は通訳のお仕事以外にボイスオーバーのお仕事もしていて、
ドキュメンタリーのリポート素材に日本語音声を作成(翻訳)して載せたり、
企業の紹介ビデオに声を載せたりという仕事もしています。
ボイスオーバーとは、外国語のニュース番組やドキュメンタリーといった
映像素材のオリジナルで録音されている音声の上に、
翻訳された言葉(別の音声)をかぶせること。
では、ボイスオーバーと吹替えは違うのか。
違います。
その違いを簡単に言うと・・・
吹替えでは映像の原音がすべて消えているのに対し、
ボイスオーバーは原音がかすかに残っています。←はずなのです。本来は。
また、事前に原稿が渡される吹替えの仕事と違い、
ボイスオーバーでは、たいてい現場に行ってすぐに収録をするので、
初見で、噛まずに、手早く録音作業を終えられる能力が求められます。
ボイスオーバーには、同時通訳の仕事とは異なるチャレンジがあります。
さまざまなチャレンジが刺激となり、成長させられます。
やりがいのある仕事に恵まれるのは幸せなことです。
声が大切な仕事道具ということは
風邪を引くと普段の声ではなくなってしまいます。
花粉症や鼻炎など、アレルギー反応でもそうですよね。
また、どんな仕事であっても、イライラやフラストレーションが溜まることってあります。
それが即、声に出てしまう。
自分の周りにクシャミや咳をしている人がいると
風邪をうつされては困る‼
と、ついつい神経質になってしまいますし、
夜遅くまでお酒を飲んだりすれば、翌朝の声はいつもの声ではなくなっています。
まあ、お酒に関しては年齢とともに少なくなり、さすがに今はなくなりましたが。
その日のコンディションがモロに出てしまう 声
これも効果的にコントロールする術を身につけ、磨いていかないと・・・!!
「ムセイカ…無声化って何?」
とお思いの方はこちらを参考にしてくださいね。
日本にまだ住んでいたころ、すでに何年か前になりますが(苦笑)
某テレビ局の「アナトレ」に通いました。
入門から上級終了まで行きましたから、結構の期間だったとおもいますが、
とてもよい勉強になりました。
今でも、直接的に、そして間接的に、仕事や普段の生活に役に立っていると思います。
きれいな日本語の音づくりに欠かせない無声化
この無声化ですが、アクセント、鼻濁音とともに「声」の仕事をしている人なら避けては通れない重要なポイントです。
一定のルールがあって、
通常は母音は有声音(発音すると喉が震える)なのに、
ルールが該当する場合には、
特定の子音の後ろの母音が無声化する(発音しても喉が震えない)
というもの。
それだけでとても長くなりそうなので、このルールを詳しくここで記載することはやめておきます。
このルールがわからない、知りたい!という方。
ご要望が多ければご紹介しますので、
コメントでも、問い合わせでもOK。とりあえずご連絡ください。
無声化する10個の音
さて、タイトルに挙げた、「キ・ク・シ・ス・チ・ツ・ピ・プ・ヒ・フ・シュ」という10コの音。
これが、場合により無声化する音です。
その昔(その昔ぃ??)先生に
「キ ク シ ス チ ツ ピ プ ヒ フ シュ と暗記してしまいなさい!」
と教わったことを思い出します。
美しい日本語、正しい発音
日本語を正しく、美しく、発音すること。
つまり間違った音を広めないよう日頃から心がけること。
でも、口で言うほど簡単ではないのも事実ですよね。
「正しい」アクセントとは・・・。
(ちなみに、方言や訛りを否定するものではありません。)
ここでは、無声化や鼻濁音になるべきルールに則ったアウトプットをする、そういう意味だと思ってください。
無声化せずに、全部ベターっと発音すると、
どこかしらロボットが話しているみたいに平坦になってしまい、
不自然で、素人っぽく、おかしな感じに。
お世辞にもベストプラクティスとは言い難いのですが・・・。
しかし、かといって反対にやりすぎてしまう(意識しすぎてしまう)と、
「上にまいりま~はぁす♪」
「エレベーターのお○○さん」みたいな口調になってしまいますから、注意が必要です。
通訳や翻訳の仕事も奥が深いけれど、ボイスオーバーも奥が深い。
興味がある方は、声トレをおススメ。
Transferable Skill (転換できる、使い回しが効く技術)
だと思いますし、
通訳の仕事とは 補完作用がある と思います。
発声練習や、滑舌練習、ニュース原稿の読み方以外にも、
自分の家のテレビでも見たことがあるスタジオを使って本番さながらにしゃべらせてもらったり、
リポートや実況中継などの練習もさせてもらいました。
では、今日はこの辺で。
ご質問、コメント、そしてご相談も大歓迎です。コメント欄、お問い合わせページ、Twitter からもご連絡いただけます。
ちなみに私が受けた「アナトレ」の詳細はこちら。
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イギリス、アイルランドからヨーロッパ全域へ出張して通訳しています。
こちらのカテゴリーでは、通訳者の皆さんにとって役に立つ「声」、「喉」、「滑舌」などについて書いています。
通訳や翻訳のお話だけではなく、ボイスオーバーの話も、追々少しずつご紹介していけたらと思っています。