こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
エージェントは競争相手か?
エージェントは競争相手か?
結論から言うと、直接のお客様がいるからといって、エージェントのことをライバル、競争相手だとは思いませんし、エージェントから見ても、直接の顧客を持つフリーランスが競合であるべきだとも思いません。
選択肢が増えるということは市場にとって好ましいことですし、業界にとってもポジティブなことだと思います。
それは、案件によって、個人に適したプロジェクトと、エージェントに適したプロジェクトがある、と思うからです。
フリーランスになってしばらくは、エージェントからのお仕事がほとんどでした。
非常に大きなボリュームのものを大勢で手分けするというプロジェクトにも関わらせていただき、そのおかげで、大変勉強になりました。
そういった経験は、個人で終始対応するタイプの仕事では、まず得られません。
このように、エージェント経由のプロジェクトから翻訳者が得られるものは大きいものです。
では、個人、つまりフリーランスの依頼に適したプロジェクトには、どんなものがあるか。
例えば、多言語化プロジェクトで、ボリュームが相当にある場合、言語をまたいだ統一感や統一性が求められます。
表記や表現などが統一されているかどうかは、翻訳のクオリティの良し悪しを左右する基本的な部分ですから。
また、ボリュームの大きな案件はどうか。個人で対応しきれるか。
これは納期に余裕があるのであれば、ひとりでも対応が可能だと思いますが、納期が悠々としている案件は少ない。つまり、量に対して納期がタイトなのであれば、手分けする必要が出てくるでしょう。
では、納期は短く、量は多いので「それでは即エージェントに依頼!」かというと、残念ながら話はそれほど単純ではありません。
エージェントでも、対象言語に対応できるプロジェクトマネージャーを抱えていないところでは、たとえ多言語に対応しているエージェントであっても、日本語に対応できるプロジェクトマネージャーがいるとは限りません。
そして、エージェントにとって「直接のクライアントを持つ翻訳者は競争相手か?」
と考えてみましたが、私はエージェントとの関係は「競争相手」ではなく「パートナーシップ」だと思います。