こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
海外の講演、国際会議(カンファレンス)の通訳はどう探せばいいか?
海外の講演や会議に参加される方のなかで、英語が話せず、海外での講演を英語で聴講する場合に英語が話せず困っている…そんな時はどうしたらいいのでしょうか。
勤めている会社の命で海外での講演を聴講しに行き、講演内容の聴取・内容の取りまとめをして報告書を書かなければならない。それなのに、英語が話せず困ったことになった!なんてことはありませんか?
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国際会議や国際フォーラムの通訳に翻訳機で対応できる?
翻訳機でも場面によっては用が足りることもあると思いますが、国際会議やフォーラム、講演となるとレストランでメニューを注文するのとはわけが違うので、あまり期待できないでしょう。
また、テクノロジーの進歩により翻訳機は進化していることは事実です。が、そもそも使い途として想定されているのが観光などのシチュエーションですから、定型表現以外に的確にさばく知恵などあるはずがありません。
観光などで英語があまり通じない国や地域に行く場合には通訳者である私も翻訳機があったらよかったな~!と思うことがあります。近い将来購入するかも知れません。でも、生きた会話の中で翻訳機を使おうとは夢にも思いません。
翻訳機とうなぎ文
それはなぜでしょうか?挙げ始めるとキリがないので一つだけ例を出しますが、日本語の曖昧さ=難しさを表したもののなかに「うなぎ文」というものがあります。
レストランで注文をするとき、日本語では「私はうなぎです」で通じますよね。厳密にいうと「私はうなぎにします」という意味なのですが「僕はカレーです」「わたしはジュース」で通じます。
これは外国人(日本語学習者)からしたら不思議な文型・表現が自然な表現です。
そのまま英語にすると
I am an eel.
I am curry.
I am juice です。
これでは全く通じません。
I would like an eel.
I would like a curry and rice.
I would like a glass of orange juice.
などと言わなければ分かってもらえないのです。
上記は単なる一例ですが、このように考えていくとお分りいただけると思いますが翻訳機を持っていっても海外の講演や国際会議では機械翻訳はおそらくい物にならないと思います。なので人間通訳・・・プロの通訳者が必要になります。
では、
どうやって通訳を見つけたらいいのでしょうか?
日本から連れて行けば飛行機代をはじめ、移動拘束費など大変高くつきますよね。では、現地の通訳者は?
どうやって現地の通訳者を見つけたらいいのでしょうか?
方法としては、以下の四つのパターンが考えられます。
- 日本の通訳会社に依頼して現地の通訳者を見つけてもらう、
- 現地とやり取りのある旅行会社に通訳者を見つけてもらう、
- 現地の通訳会社に依頼して見つけてもらう、
- 現地の通訳者を探して直接連絡する
現地通訳者の見つけ方
それではここで、それぞれの長所と短所をご紹介しようと思います。
1. 日本の通訳会社を通す場合の長所
- 日本語が通じる
- 支払いが日本円で良い
日本の通訳会社と通す場合の短所
- 登録している現地通訳が限られている
- 中間マージンがあるので高い
- 現地での通訳ブースの手配が困難
2. 現地とやり取りのある旅行会社に依頼する場合の長所
- 支払いが日本円で良い
- 日本語が通じる
- 通訳手配だけでなくいろいろな手配が一度に任せられる
現地とやり取りのある旅行会社に依頼する場合の短所
- 通訳業務に対する理解が少ない為依頼内容や手配が不適切なことがある
- 中間マージンがあるので高い
- 調整することが多いのでやり取りに時間がかかる
3. 現地の通訳会社を通す場合の長所
- 登録している通訳者の数が多め
- 通訳ブースの手配が頼めるところがある
現地の通訳会社を通す場合の短所
- 日本語が通じない為やり取りが英語
- 支払いが現地通貨
- 中間マージンがあるので高い
4. 直接、現地の通訳者を探す場合の長所
- 日本語が通じる
- 中間マージンがない分安め
- 支払いは日本円と現地通貨の両方OK
- 経由がないので連絡が比較的タイムリー
現地の通訳者を直接探す場合の短所
- 契約、書類、支払いなどやり取りがすべて直取引
- 何かあったときに代わりが見つかりにくい
- 通訳ブースの手配は別でしなければならないことがある
現地通訳者を見つける以外の解決法は?
現地にどうしても出向かなければならない場合を除いて、最近は日本にいながらにして参加できる遠隔同通プラットフォームが出てきました。InterprefyやKUDOがその一例で、私もこれらのシステムを使って通訳をすることが増えつつあります。
飛行機で通訳者を飛ばす必要がない、ホテル代もかからない、通訳費用も日当や移動拘束時間に対してコストが抑えられることなどから、今後も成長が見込まれるビジネスです。
遠隔同通プラットフォームの利用をお考えの方は、いくつか注意していただきたい点がありますが、それがクリアされれば有益な代替案となり得ると思います。
ご注意、ご留意いただきたい点の一つ目は、ネット回線など通信状況やコンピュータ上のリスクがあること。お客様側、会場側、プラットフォーム側、通訳者側・・・どの部分でのネット接続や速度が落ちても支障が出るということです。
また、対面通訳を比べて、ブース通訳は部屋が別なのでユーザーと通訳者間のコミュニケーションが取りづらいのですが、遠隔同通プラットフォームの場合はブース通訳以上に困難、というより会場やユーザーとのコミュニケーションが不可能になります。この辺りを十分に考慮して決断、相談する必要があります。
InterprefyやKUDOがのシステムを使った通訳なら経験がありますので、遠隔同通プラットフォームのご利用をお考えで、ご不明な点や不安な点などありましたらお気軽にご相談ください。