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フォーカスグループインタビュー(FGI)の通訳 [2]|表現と通訳

こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。

FGI

ロンドン在住日英通訳者の平松里英(rielondon)です。

今回は 表現と通訳 について取り上げます。前回は通訳環境についてでした。

Contents

フォーカスグループ(グルイン)のワークシートで使う表現

「フォーカスグループ」あるいは「グルイン」のセッションの中でよく使われるワークシート。もともと日本語で書かれているものを、海外の対象者向けに現地の言語に訳されるのが普通です。このときポイントになるのが、日本語で表現されているニュアンスがターゲット言語でもそのまま、あるいはできるだけ近い感覚で伝わるかどうか。

商品のイメージを伝えるフレーズは、つまり商品のコピーであることが多い。コピーライティングされているので、日本語がかなり練られています。しかし、その効果は日本語だから通じるのであって、他言語に辞書的に置き換えても、ニュアンスは伝わりません。

100%、伝わることは「ない」と思った方がいいでしょう。

これがいわゆる「ロスト・イン・トランスレーション」です。

ではどうやって準備したらいいか。

事前に翻訳を依頼し、翻訳してもらったものはそのまま使わず、モデレーターとの事前打ち合わせの時間を使ってじっくりとすり合わせすることです。

たとえ日本なら誰でもわかる感覚でも、海外ではダイレクトには通じないことがあります。

その概念自体が存在しない、

その体験自体が存在しない、

その感覚自体なじみがない、

など、フォーカスグループ(グルイン)の依頼主の意図を理解してもらうことが思いのほか手こずることも。

おいしいコーヒーを飲みたいと思ったらカップを温めておくように、

収穫率の高いグルインを実現させるには、適切な準備こそが成功させるコツ。

通訳を入れて効果的に事前の意思疎通を図ることは適切な準備のひとつです。

そのためにも当日の打ち合わせ時間は十分に取り、通訳者を交えて、打ち合わせを行うことをお勧めします。では通訳なら誰でもいいのかというと、もちろんそうではありません。

同じプロでも、いろんな通訳者がいるからです。

フォーカスグループ(グルイン)では

  • 適任の通訳者を選ぶこと
  • 通訳が入ると2倍時間がかかることを覚えておく

この2点を押さえておくことが大切です。

適任の通訳者を選ぶには

第一に、現地のことばに詳しい人であること。つまり、ロンドンで行うグルインならロンドンの通訳者を使うこと。当たり前に聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。例えば、電話通訳だからとアメリカにいる通訳者やオーストラリアにいる通訳者につないでしまう会社もあります。英語の通訳者ならどこの国でも同じ、と手配する会社ですら、そういう思い違いをしているくらいなのですから。

二番目に、当該商品あるいはカテゴリーに関心がある人か、ある程度マーケティング分野に明るい人。

三番目に、ことばの温度を擦り合わせることを心得ている人。普段から日本語のコピーはもちろん、英語のコピー、とくに自分が住んでいる地域で目にするコピーに関心を持って触れている人。キャッチコピー、リードコピー、ボディコピーなど何でもいいのですが、表現やことばのリズムに対してアンテナが立っている人。 コピーライティングの心得があると話が早いのでいいですね。

また、表現のすり合わせでは、元の表現(起点言語)と英語の表現(目標言語)との温度色合いを近づけることのほかに、実際のグルインのやり取りの中で使う表現として適しているか、というのも忘れてはならないポイント。

通訳が入るミーティングの時間は2倍

もう一つ忘れてはならないのが、通訳が入るミーティングが時間を長めに見ておく必要があること。
グルインで使う最適な表現をじっくり、かつ効率的に話し合うなら、対面で逐次通訳が一番適しています。

逐次通訳の場合、双方の話し手と通訳が交互に話すため、実際の内容の2倍程度の時間がかかるのです。内容的には「30分あれば大丈夫かな」というようなミーティングなら1時間見ておく必要があります。

フォーカスグループ対象者の発言のなかの表現

グルインを通して意味だけ訳出していけばいいと考えるクライアントと、ことばもピックアップしているので英単語と日本語の意味と両方ほしい。できれば発言がネガティブなのかポジティブなのか、どちらかわからないので適当に応えているのか、そのあたりのニュアンスが分かるように訳してほしいとおっしゃるクライアントも。

アウトプットの方法は、ひとつにグルインと言っても、案件ごと、クライアントごとに異なるので、事前に話し合っておくといいでしょう。

フォーカスグループのセッション中の表現について

今回、日本語のこの単語(フレーズ)には英語ではこの単語(フレーズ)を当てはめる、というように何度も登場する表現や、キーとなる語やフレーズがある場合には、あらかじめ統一しておくと、グルイン実施のあとのまとめ作業や分析もしやすくなると思いますよ。

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