こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
【読むポッドキャスト】013.帰国子女への非現実的な期待
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「日本人の英語を変える!ポッドキャスト」
013.帰国子女への非現実的な期待
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今回のテーマは「帰国子女への非現実的な期待」です。
「非現実的」というのは「リアリティのない」「当たり前な」という意味。
お相手を務めていただく初田美紀子さんからこのお話を聞いていきたいなと思い、今回のテーマを選びました。
私自身は帰国子女ではなくて、うちの子供がそれに近いと思います。帰国してませんけどね。
でもやっぱり、日本に行った時にはうちの母なんかは完璧な日本人であり、完璧な日本語、みたいなのを想定してると思うし。当然そのようになってないわけですけど。
外国に行ったら行ったで、親とかっていうのはその国にも適応してほしい。どこへ行ってもですよね。里が変わっても普通=完璧、っていうのを求めてしまう。
1人の人間がいろんな文化圏を体験して、感覚を身につけることはできると思うんですけど、求めるレベルがネイティブレベルをどちらのサイドにも求めるということが非現実的だと美紀子さん。実際にそうなのだそうです。
相手はそもそもできると思っていて、「なんでできないの?」ぐらいのレベルで考えている。
美紀子さんの場合は5歳から8歳の間ニューヨークにいましたが、その3年間は日本の文化を知らないけれど、そこが欠けているという感覚はないのだそうです。
他の日本人は、その知識はあって当然で+αで5歳から8歳のアメリカを知っていると思っているから、ダブルで知っていると思われている。
私の子供達の場合に置き換えると、イギリスにいる時期と同じ時期日本の文化と日本の文化圏を知っていると思われるということ。実際には知らないんですけどね。
ただ、世代がインターネット世代なので情報はインターネットがなかった時代に比べたら入って来る。例えば流行ものとかは知ってるよ、とか。ピコ太郎を知ってるよとか、ふなっしーを知ってるよとかはあると思う。
小学校を卒業してこちらに来ましたから、中学校の授業って一回も受けてないんですよね。
高校ぐらいで古典とかやりますよね、漢文とか古文とか。全くやってないわけですよ。
歴史も世界史とかやってないし。日本史は小学校の時なのでまだ社会ですね。
中国史って世界史の最初とかでやりますよね?日本の遣唐使とか遣隋使とか、年号を覚えた程度じゃないですか。三国志だのなんだのってやってないから。
男の子は割と三国志好きな子多いのでそのぐらいは知ってるかもしれないですけど、それ以外は知らないですよね。なにそれ?の世界ですよね。
だからそれを前提に話されると辛い。
人間の能力って学校の知識だけじゃないのに、そこを基準に求められるのは…と美紀子さん。
心理学の知能検査で「知識」という分野がある中で、日本の場合は日本の歴史があり、アメリカはアメリカバージョンがあるそうです。なのでそこにいないと、そこの部分だけがガクッと下がってしまう。なので妥当性がないといわれるそうです。
例えば答えに「浮世絵」があったりして、そんなのはやっていないからわからない、というわけです。
世の中学校で学んだ知識を「知能」と呼んでいるので、なんだろうなって思うんですけど。そうしたら絶対に完璧な日本人ではないし…どうなんだろう?と美紀子さんは思ってしまうそうです。
私が不思議だと思うのは、こうやって話をしてもらえば「なるほどね」と思えるけし、きっと他の親御さんとかもそう思えると思うんだけど、自分の子供は「え?知ってるでしょ」って思ってしまう。
あと、私は今はそうではないですけど、うちはお父さんとかお母さんとか海外赴任とかなかったし、というお家の方だとそう思ってしまうのはなんとなくわかる気はして…。賛成とかではなくて。
そういう両親たちにこういう話をしたら「なるほどね」って思ってくれないんですか?という問いに、「先ほど話したぐらいのレベルで言ったら思ってくれる。ただ、日本に戻ってくると忘れちゃうんだと思う。」と美紀子さん。
親が日本人だから「この子たちはその時代日本にいなかったんだ」ということを親が忘れてしまうのだそうです。
兄弟でも知っている度合いは違って、美紀子さんのお兄さんの場合は習っている時代に日本にいなかったので都道府県が苦手なのだそうで、日本にいなかった時代はずっと「わかってない」という想いを背負っているのだそうです。
そういう偏見に繋がったりするので帰国子女であることを隠してしまう人もいるそうです。
人にもよりますが「言ってもいいことない」という考えを持つひとが多いよう。
百害あって一利なし、のような感じでしょうか。
それを活用される世の中を美紀子さんは目指しているのだそうです。
美紀子さん曰く、私の子供たちのように海外にいるともう少し広がっていくのかもしれない…とのこと。
うちの息子は日本人の子とやり取りをしているとルー大柴の「ルー語」と思われる。
なぜかというと数学など特定な分野でしかやっていないから、そこに相当する日本語の語彙がないのでそこが英語になるわけですよ。本当はそれでいいんですけどね。
文の中に「て・に・を・は」で繋いだカタカナ語が沢山入るので、なんとなくわかるけどわかんないみたいな。わかるけどすごいカタカナ多いね、って感じになりますね。話題によっては。
そうじゃないものはカバーできますけど。全く同じですよね。その時代にどっちの言葉で触れているかで継ぎ接ぎになりますね。
それが許される日本にすればいいですよね。
日本ってチャンポンがなぜか許されない。非現実的な完璧な日本語が伝えることが当然で、最低ラインになっているので、「チャンポンはダイバーシティ」という言葉を作りたいと美紀子さん。
場面とかによりますけど、話す相手とか。例えば高齢者とか、漢字の方が親和性のある世代とかだったら必要だとは思いますけど、それでも対面で話してる場合はお互いに「それなに?」って言えばいい話で、説明できればいいのかな、と。
そういう点でいくと、イギリスにいてうちの息子がイギリス人同士で話をしてて「お前の英語がわからない」ということがない。というか彼の英語に日本語が混じることがないんですよ。多分話題的にも。
今彼は日系の会社に勤めていて、そうしてようやく理科系の言葉で日本語がちょっと入り始めましたね。
でもこちらから見るとやたらと専門的なすごく偏った語彙。
特定の用語はわかるけど、その手前の「交流」とかはわかんないの?みたいな。直流・交流とか言わない?みたいな。
学会に出た学会に出た日本人みたいで、自分の発表はできるけど後の談笑ができないみたいな。
日本の財閥系の商社の方だと海外長い人とか、帰国子女で海外の方が長い人たちは日本語も英語も完璧だったりするから、それを基準にしてしまうんですかね。
その人たちも実は裏ですごく勉強していると思うし、すごい苦労していると思うけど、当然できると思うのを「違うよ」と言ってあげればいいのかな?と美紀子さん。
完璧な人であるほどものすごいいっぱい勉強をやっていて、仮にオンタイムでまあまあついていけていたとしても、例えばアメリカにいて学校に行きながら勉強して、それと同じところの日本の教える要項もカバーしてたってことですよね。
裏の努力があって、倍やっているということです。厳しいと思います。
その人たちが心が折れないように、あまりにも頑張りすぎないでと言いたい、と美紀子さん。
そういうのは子供の立場で親に言いにくいと思うので、受け入れ側である学校とか、学校のカウンセラーさんとか、そういう人がそういうことを言えるような雰囲気があるのであれば、親御さんの意識を違う方向に促してあげて欲しいですね。
子供の方から言う方が難しいと思います。やらなくてもいいと思わないし、子供の方も言うべきだしと思うんだけど、そこだけだと周りの発想が硬いので。
教育側だったりカウンセラーだったり、周りにいる親以外の大人が「親御さんそんなに頑張らせないで」って言ってあげればいい。
親もプレッシャーを感じているでしょうから、親側もプレッシャーを自分の中で客観的に分析して「これって絶対的に必要なのか」とか「そうじゃない」とかっていう決着も自分の中でつけるというか。そういうところも含めて、別に命に関わることじゃないのでは?と思ったらいいかなと思いますけど。
イギリス現地からお届け!Colloquial Englishのコーナー
今回はraise one’s hacklesです。
意味は、激昂させる・怒らせる。
「キレさせる」と言ってもいいですね。すごく怒らせるってことなんですけど。
例文は
His insensitive remark raised my hackles.
「彼の無神経な言葉が私のhacklesを逆立てさせた」みたいなことなんですけど。
raiseは起き上がるということ。hacklesは動物の毛、猫とかが怒ってると逆立ちますよね。首の後ろの辺とか。あの辺の毛のことみたいです。
犬とか、反応してキッとなった時の構えた感じですかね。
「私の背中の毛が立ったよ!君のせいで!」ということですね。
もう一個、これによく似た意味合いで使えるのが make one see redです。
「これ聞くと腹が立つ!」みたいな。目の前が真っ赤になるってことです。
~ make me see red!とか、誰かが何かをやるとすごく腹が立つ!とか。
この辺の流れは日本語でもありそうじゃないですか。
「めちゃめちゃこれムカつくんだよね!」っていう時に ~ make me see red!とか言えば使えます。
言いやすいのは後者かなと思いますが、会話をしていて口語として出てきます。
英語の授業とかではhacklesは出てこない単語だし、日本語にない言い方ですね。
日本語でいうと鳥肌、みたいな感じでしょうか。
外国人の日本語学習者は最初わからないと思うんですよ、鳥の肌なんて。
そういうような感覚でraised my hacklesと聞いた時は「毛が逆立ったんだね!」「虫酸が走ったんだね!」イメージしてもらえればなと思います。
次のエピソードは土曜日に配信されます。
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