こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
国連事務総長 就任「2017年を平和の年に」演説
2017年1月4日
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ロンドン在住日英通訳者の平松里英(rielondon)です。今回は 国連事務総長正式就任2017年年初の演説 を取り上げます。「気になる英語表現」は最後にあります。
【今日取り上げるニュースメディア】
UN News Centre New UN chief Guterres pledges to make 2017 ‘a year for peace’
【ざっくりサマリー】
✔ 新 国連事務総長にポルトガルのグテーレス氏が正式に就任
✔ 年初の演説で「2017年を平和の年に」と訴え
✔ 次期 国連事務総長に決まったのは2016年10月13日
✔ 任期は5年後の2021年12月31日まで
✔ グテーレス氏の略歴
Contents
2017年1月1日 新 国連 事務総長の正式就任
2017年元旦、第9代 国際連合事務総長にアントニオ・グテーレス(António Guterres)氏が国連総会(the UN General Assembly)にて正式に就任しました。
「これまでは安全保障理事会が候補を一人に絞り、この唯一の候補のみが国連総会に提案されていました。安全保障理事会でのいわゆる密室の協議で事実上決定されていたため、選出プロセスの閉鎖性に批判が集まっていました。」(http://www.unic.or.jp/news_press/info/18566/)
これを受け、2016年4月には国連初の試みとなる公開面談が行われ、10月に初めに国連安全保障理事会(the UN Security Council)が国連総会に勧告し、就任が確定しました。
そして、就任宣誓式(swearing in – ceremony)が12月12日でした。
激震の2016年、2017年は?
「一年の計は元旦にあり」
暗澹たる、そして激動・激震の2016年が幕を閉じ、続く新年の幕開けでの交代だけあって、
2017年を方向づける幸先の良い出発だったと、後で振り返れるよう願わずにはいられません。
国連事務総長の任期
さて、グテーレス新事務総長(Secretary-General)は1995年から2002年までポルトガルの首相を務め、
2005年から2015年までは国連難民高等弁務官(the UN High Commissioner for Refugees )として様々な活動に従事。国連事務総長の任期は5年なので、2021年末までということになります。
なお、第8代の国連事務総長 藩基文氏の任期は2007年から2016年までの10年間(つまり5年任期を2期)でした。
これまでは、近年では、第6代事務総長 エジプトのブトロス・ブトロス-ガーリ氏が、アメリカが再選に際し拒否権を発動したため5年で退任した以外は、第7代 コフィ・アナン氏、第5代 ハビエル・ペレス・デクエヤル氏も2期(10年)務めています。
事務総長による新年のスピーチ全文
新事務総長は新年の抱負として、“Peace must be our goal and our guide” と述べ、2017年を平和に向けた年とするようすべての市民、各国政府、指導者たち(all citizens, governments and leaders)に向けて様々な相違を超える努力をするよう(to strive to overcome differences)訴えました。
2017年1月1日 国連事務総長スピーチ 平和への訴え -全文-(Appeal for peace from UN Secretary-General Antonio Guterres)
他メディアの関連ニュース
2016年10月13日のCNNニュース「国連がポルトガルのアントニオ・グテーレス氏を次期事務総長承認 (UN approves Portugal’s Antonio Guterres as next secretary-general)」
では、10月5日に逃げ切りの最有力候補(as the Security Council’s runaway favorite)となっていた氏を193加盟国の全会一致で次期事務総長となることを承認したと報道されています。
どんな国連事務総長になるでしょうか。
2016年10月6日のBBCニュース 「グテーレス氏とは誰なのか。次期国連事務総長の人物像 (Who is Antonio Guterres? Meet the UN’s next secretary-general)」では、
グテーレス氏は副事務総長に女性を起用すると予想されます。「男女共同参画」の国連における重要性を説いてきたからです。
He is widely expected to select a woman as deputy secretary-general, having said that “gender parity” is crucial at the United Nations.
とあり、
ヨーロッパ外交評議会の研究員、リチャード・ゴワン氏によれば、内部関係者はポルトガル出身のグテーレス氏が「国連に必要な『尻叩き』をしてくれるのではないか」と話している、とのこと。
Richard Gowan, a UN expert at the European Council on Foreign Relations, said insiders believed Mr Guterres, from Portugal, “could give the UN the kind of kick up the backside it needs”.
グテーレス氏の背景
グテーレス氏は、50年余り続いたポルトガルの独裁政治が終焉した1974年に社会党に入党し、間もなく専従の政治家になりました。[それ以前は大学で電気工学と物理を勉強し助教授をしていた。]
He joined the Socialist party in 1974 – the same year five decades of dictatorship came to an end in Portugal – and soon became a full-time politician.
1995年には社会党の書記長に就任、のちに首相に就任し2002年まで務めました。
In 1995, three years after being elected the Socialist Party’s secretary-general, he was voted in as prime minister, a position he held until 2002.
今回の国連事務総長の指名前のUNHCR(国連難民高等弁務官)としての経験が今回の人事への試金石(=意訳)となりました。
Prior to his nomination, he said that his work at the UNHCR had been excellent preparation for a secretary-general.
第9代 国連事務総長の役割
「事務総長の役割(The role of the Secretary-General)」に、以下のように記されています(抜粋)。
立場が対等な外交家であり唱道者であり、公務員であり、CEOである、事務総長は国連の理想の早朝であり世界の人々、なかでも特に貧しく弱い人々の利害における代弁者である。
Equal parts diplomat and advocate, civil servant and CEO, the Secretary-General is a symbol of United Nations ideals and a spokesman for the interests of the world’s peoples, in particular the poor and vulnerable among them.
《注目の英語表現》
- The UN Security Council 国連安全保障理事会
- The UN General Assembly 国連総会
- gender parity 男女同権、男女共同参画
- at the helm of the United Nations 国連の舵取り役に当たり
- civilians are pounded with deadly force 市民が致死性の高い武力で猛攻撃を受けている
- forced from their homes, dispossessed and destitute 家を追われ、貧窮しており
- fueling cycles of mistrust and fear that can last for generations 不信と不安の循環のエネルギーとなって何世代nにも続く可能性がある
- peace must be our goal and our guide 平和が私たちの目標であり、手引きでなくてはならない
- I appeal to you all 懇願する(切に訴える)
- equal parts diplomat and advocate 立場が対等な外交家であり唱道者
- the poor and vulnerable 貧しく弱い立場にある人々
今年最初の記事は1月1日のグテーレス氏のスピーチの中から、次のことばで締めくくろうと思います。
それではまた!
“all that we strive for as a human family […] depends on peace.
人類 として私たちが尽力することのすべては平和にかかっています。
But peace depends on us.”
ところが、平和は私たちにかかっているのです。
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