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通訳者になりたいけれどどう始めたらいいかわからないあなたへ【其の壱:シングルマザー編】

こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。

lost child

2018年の春から、レギュラーゲストとしてポッドキャスト番組『ロンドン発英語よもやま話』に出演いただいているランサムはなささんと、この度通訳者・翻訳者になりたい!なりたて!!という人のために毎週ブログを同じテーマで「書きっこすることになりました!はなさんは主に翻訳者の視点から、私は通訳者の視点から競作(共作?)で書いていきます。

今回がシリーズの第一弾です。

通訳者になりたい理由・動機

あなたはなぜ通訳者になりたいのでしょうか?

「シングルマザーで生活がかかっているので食べていくために」
「インバウンド誘致で訪日外国人の数が増え通訳をやってみたいと思った」
「ずっと英語が好き、学生時代の得意科目も英語。憧れの仕事である通訳になって夢を叶えたい」
「海外に住んでいる(日本だが外国人を相手に仕事をすることが多い)ので通訳ができると仕事の幅が広がると思う」
「ひとつの会社に縛られずフリーランスで生計を立てたくて、究極の仕事として辿り着いたのが通訳だった」

などなど…。

理由や動機は人によっていろいろあり、動機がガチの人もいれば、軽めの人もいて当然ですよね。

それで、上に挙げた5つのなかで3つか4つに絞って、シリーズ内シリーズとして書いていきたいと思いますが、まず第1回目は

「シングルマザーで生活がかかっているので食べていくために通訳者になりたい」と思っているあなたへ。

何を隠そう私もその昔、シングルマザーだったのです。

(詳しくは「双子のバイリンガル教育(前編)」 と「双子のバイリンガル教育(後編)」をご覧ください)

なぜ、通訳者になったんですか?最初から食べていけましたか?

ってところが気になる方多いのではないか、と思います。

今日まで20年ほど通訳の仕事をしてきて、まず言えるのは、

「食えるか、食えないか」で判断するなら、この仕事を選んで正解=食える仕事 

だということです。

「正解だった」と結論付けられるもう一つの理由は、通訳という仕事の最終形が「フリーランス」であることもあるとおもいます。フリーランスで働くことによる「自由」は子育てをしている人にとって相性がいいです。

フリーランス、つまり、特定の会社に縛られない働き方をすることで自分の望む「生き方」に合った「働き方」ができる、というか、自分で決められるから。

こう言い放ってみたものの、あるドイツ人の友人に言わせると

「フリーランスの人はみんな休みがないよね。」

彼に言わせると、フリーランスとは常に働いていて休日がない人のこと (^^ゞ なのだそうです(苦笑)。

まあ、実際には会社勤めをしていた時よりも自由時間が少なく、プライベートと仕事の境目がない(曖昧)になってしまうことはあります。友人に揶揄されたとおりなのは悔しいところですが…。

 

全く経験がない人は、

いきなりエージェントに登録しようと思っても「できない」か、

登録できたとしても仕事が来ないと思うので、

まず自分で練習を重ねていって、自分の得意そうな分野でできそうなレベルに達したんじゃないかという手ごたえを掴んでいき、

普段から「知り合いや友人に通訳の仕事があったら回して欲しいと伝えておく」という手がいいんじゃないでしょうか。

自分で開拓することも無理じゃない、全然ありだと思います。

一朝一夕にはいかないでしょうけれど、時代が時代なので、エージェントに頼らない仕事の獲得方法は確実にあると思います。自分の得意なことを発信していくという方向性があるので、これからという人は、こちらの方が可能性があると思います。

どうやったらできそうなレベルに達したかどうかわかるのか?という話ですが、通訳にもいろいろあって、レベルもいろいろなので、自分が得意そうな分野大学時代の専門分野とか、趣味だとか。

私はメディア専攻で、留学当初は就職にはつながらなさそうで不安でしたが、ふたを開けてみたら、ど真ん中の放送関係の会社に仕事が決まりました。人生って分からないものだなと思いました。

それすら思いつかなければ、即時性を求められない翻訳で経験を積んで知識を蓄積していってもいいと思います。

同時通訳ブースから通訳を行うようなもの(会議通訳)は受けてはいけません(!)が、背景知識や隣接の経験で得点を稼げそうな分野で、会話のやり取りを小刻みに訳す逐次通訳で、間違っても長い逐次通訳ではなくこまめに切り返しのある対面の通訳で、最初はできるだけ一般的な話題がいいと思います。

ボランティアで何回か経験してみたりして、「経験ゼロ」ではなくなったら、次に社内通訳にチャレンジするのもいいと思います。フリーランスと言えば通訳と言えるほど、通訳はフリーランスという形態で働く人が多い職業ではありますが、会社勤めからキャリア構築する人は珍しくありません

むしろ今ではメジャーな入り方だと言えると思います。

「今では」と言ったのは、かれこれ30年以上前にこの世界に入った人のなかには、はじめからOJT(オンザジョブトレーニング)でフリーランスとして通訳者になったという人が結構いるからです。

インハウス、つまり一つの会社に入ってフルタイムで通訳というポジションに就き、経験を積んでから、やがて独立してフリーランスの通訳者になる人は多いのです。私自身、そうでした。でも、最初の仕事はママ友から頼まれたものだったり、当時の夫の知り合いの外国人研究生の手伝いでした。

ちなみに、意外かもしれませんが、通訳会社にインハウスで入る人もいます。表向きはフリーランスなんですが、ひとつの通訳会社に専属契約をしている通訳者です。多くは付属の通訳学校から上がった人で、通訳学校修了後に声を掛けられて専属契約をする人たちです。

ただ、通訳者のなかには生涯、優れたインハウス通訳者としてキャリアを貫かれる方も沢山いらっしゃるので、みんながみんなフリーランスの通訳者になるわけではありません。また、長年インハウスだからといって独立するだけのスキルがなかった、ということでは決してありません。

通訳者になるために必要な英語力は?

日本の通訳学校に入るための基準としてよく引き合いに出されるのが英検一級TOEIC900点などと耳にしますが、これらの英語資格に合格または得点していたら通訳者になれるかというとそうではありません。脅かすつもりはないのですが、プロとして通訳をするのに必要な英語力はこの程度ではないからです。

通訳と一口に言っても、国際会議を通訳する会議通訳、商談やミーティングなどを通訳するビジネス通訳、通訳系の唯一の国家資格を取得して行う通訳ガイド、警察や裁判所、病院で行うコミュニティ通訳などいろいろあります

「通訳=訳すことに変わりはない、同じでしょ?」と思っていると大間違い。

え?そんなに違うの?

と驚いてしまうほど違うのですよ。

会議通訳がトップレベルだとすると、病院での通訳はうんと簡単かというと、会議通訳ではないけれども決して簡単ではないし、命を扱う場ですので注意が必要です。出入りする場所も上で挙げたような通訳の種類によってずいぶん違うので、そのあたりも考慮してどの種類の通訳をしたいのか、考えてみるといいと思います。

通訳になるはどんなスキルが必要?

異文化コミュニケーションにおけるスキルは通訳者に必要とされる重要なスキルですが、ここでは純粋に通訳するという作業に限ってお話ししますね。

通訳は話しことばを訳す作業なので、耳で聞いたことを、口で訳す作業です。
まず、発言者の内容を耳で逃さず聞き取れること、
そして聞き取った内容を正確に理解できること、
理解したことを瞬時に整理し、記憶できること(英語を喋るだけなら覚える必要はない)、
聞き取り、理解し、整理し、記憶した内容を、他方の言語でアウトプットできる、
アウトプットした内容が元発言のいわんとすることと違わないこと。

そして、この繰り返しです。

発言者の内容を「逃さず聞き取る」ためには、
英語のあらゆるアクセントに慣れておく必要がありますし、
滑舌があまり良くない人の英語や分かりにくい言葉遣いの人もいます。
早口だったり、やたらと遅い話し方の人でも、ちゃんと聞き取れるかということです。

聞き取った内容を正確に「理解できる」ためには、
聞こえた英語の語彙はもちろん、表現を理解している必要があり、
言い方や間合いなどによっても意味が変わるのでそれを敏感に察知できること、
つまり、発言者の発言の意図をつかむ必要があります

理解したことを「瞬時に整理し、記憶するためには
瞬発力、敏捷性と、優れた分析力論理的思が必要です。

聞き取り、理解し、整理し、記憶した内容を、他方の言語で出力するためには、
元の言語に忠実でありつつ、引きずられすぎないように、
字面を置き換えるのではなく、意味を伝えることを対象言語で行う。
つまり、両言語において、4つの操作能力のうち、聞く力話す力
それプラス、「効率よく」記憶する力が必要になります。

「効率よく」としたのには理由があります。
くり返し、くり返し、上書き保存を重ねるに堪えうる脳のスタミナ集中力
通訳業務は何時間にも及びますし、連日であることを考えると、なんとなく理解できるのではないでしょうか。

アウトプットした表現が元発言のいわんとすることと違わないようにするためには、
英語から日本語へ訳すためには、日本語の引き出しを増やす
つまり日本語を磨く必要があります。
表現を豊かにする、誤用を減らす造詣を深める専門用語を覚える…など。
さらに、日本語→英語あるいは他の外国語に訳すときのために、
英語(外国語)を磨く必要があります。
こちらも、表現を豊かにする、誤用を減らす、造詣を深める、専門用語を覚える、
さらに、アウトプットが英語(外国語=習得言語)の場合には、相手が分かりやすい(聞きやすい)発音やプロソディ発話において現れる音声学的性質で、その言語の一般的な書記記録からは予測されない※)を心掛ける必要もあります。(出典:Wikipedia)

もう勘のいい方は気付かれたかもしれませんが、通訳に必要なスキルを身に付けるためには、英語を勉強するのとは少しちがう練習が必要となります。

ふつう英語を勉強するときは、4技能のうちスピーキングの比重は小さくなりがちなのですが、通訳の練習ではスピーキングの優先順位ががーっと上がって、リスニングと並びます

これは、英語を学習をしている人は受動的な能力passive)を伸ばすのですが、通訳の場合は能動的な能力activeにしなければならないので、訓練の仕方、それぞれの技能における比重が異なるのです。

なので、通訳になりたいなら、アウトプットを重視した練習を心掛けて下さいね。

もうひとつ大事なことがあります。
言語は常に変化しますので、継続的に磨く努力が必要になります。
かなり覚悟がいりますよね(苦笑)。

こう書いてくると・・・

何かひとつだけ、もっとも大切なスキルは?

と訊かれたとしたら、

それはあきらめず飽きず継続できるスキルかもしれません。
あきらめず、飽きず、腐らず(笑)上に書かせていただいたスキルを身に付けられるような努力を重ねることです。

えらそうに言っている私も、仕事や用事が重なってくるとなかなか思うようにメニューをこなせず、フラストレーションと罪悪感だけがどんどんと積もっていくこともしょっちゅうです。

このブログを書いている今日も、実はろくに練習できませんでした(反省)
でも、明日は気を取り直して、やります!決めてますから。
こういうとき、挫折感、敗北感から気持ちを早く切り替えることが大切ですね。

悔やんで落ち込んでいても、過ぎていった時間は絶対に戻ってこないので、無駄にする時間をできるだけ減らすためには、気持ちを切り替えて=腐らないことが大事です。

地方なので通訳学校がない!子供が小さいので通訳学校に通えない!

子どもが小さいうちは、手がかかってなかなか学校に通うことはできませんよね。
シングルマザーでも、そうでなくても、事情は違っても、この事実は変わりません

ところで、調べて裏取りをしたわけではないのですが、近年、通訳コースの閉鎖が増えているとか。今はオンラインの通訳講座もありますし、インターネット上には通訳訓練に使える材料がわんさかとあるので、工夫次第で十分、力を養えます!

通訳学校に何年も通っていても、学校に通っていることに安心して自らの努力が足りず通訳デビューすらできない人がいることを考えてみましょう。驚かれるかもしれませんが、これはよく聞く話です。

これは、もちろん、通訳学校に限ったことではありませんが、裏を返せば、通訳学校に通っていなくても自らの努力を重ねていけば、一人前の通訳者になれるということではありませんか!

留学や海外に住んで、その国の文化や習慣を学ぶことは確かに有効ですが、留学したからと言って、ただその国にいるだけでメキメキと語学力が付くわけではありませんし、現地の人たちとあまり交わらない、スマホで日本の友だちと連絡を取り合っている時間のほうが長い…こんなことなら留学してもそれほど収穫はないので日本でコツコツと努力をしている方が成果があると思います。

それに、頑張って留学した、留学期間中ずっと頑張ったとしてもそれはそれで大変素晴らしいですが、だからといって、そのあとは全く練習しなくていいかと言ったらそんなことはないです。

私の場合、留学は20、21年前で、そのあと一旦日本に帰国して働き、またイギリスに移り住むようになったのが12年前なのですが、それでも練習しなくていいなんてことはありませんねぇ。

これが、すごく正直に言わせてもらうと、自分で納得のいくレベルに全然たどり着かない…(涙)。これ、謙遜じゃないです。ほんとです。

どちらかというと、勉強すること(積読!!)が増えるばかりで、やってもやっても減らないです…。ただ要領が悪いだけなのかも知れませんが…。

熱くなって話が脱線しました。

シングルマザーで子どもに手がかかるうちは、フルタイムでバリバリフリーランスで働きたいと思ってもなかなか難しいですよね。でも、こういうときこそ、通訳学校に行きたい!大学の通訳コースに留学したい!と焦るのではなく、その焦りのエネルギーをも賢く使うのがお勧めです。

くり返しになりますが、通訳学校に何年も通っていても、学校に通っていることに安心して自らの努力が足りず通訳デビューすらできない人がいるということは、逆説的に考えると、通訳学校に通っていなくても自らの努力を重ねていけば、一人前の通訳者になれる。

家で洗濯を干していても、夕飯を作っていても、お弁当を詰めていても、隙間時間に練習ってできるんですよ。発想の転換隙間時間の活用あたまを使いましょう

私は、通訳練習のメニューはいろいろあるんですが、
比較的そのなかでも続けやすいものとしては、NHKラジオ実践ビジネス英語を聴いています。実際は、気になる表現を拾って反復できるようANKIアプリに入れたりしているので、もう少し時間がかかっていますが。

他にもモチベーションを保つのに便利なアプリをいくつか併せて使っています。

もし実践ビジネス英語のレベルがちょっと高すぎるなら、入門ビジネス英語からでもいいと思います。それを、夕飯を作るときとか、買い物に行く途中などに聴くとか…。
聴くだけなら15分ですからね。

スマホを眺めている時間は15分どころじゃないですよね~?
私も同じです。(このプログをスマホで読んでいる人ごめんなさい!)

それを、履歴書に書いてもいいと思いますよ。たとえ「経験ゼロ」だったとしても「〇〇を毎日練習しています。もう3年続けていますから、通算1000回やったことになります」みたいな感じで特技欄に書いたらどうでしょうか?

例えば、〇〇の部分が「TEDを使って通訳」だったらどうでしょうか?

「TEDを使って通訳の練習を毎日しています。もう3年続けていますから、通算1000人のスピーチをやったことになります」

ね? 結構インパクトありますよね!

最後に、0.01の法則をご紹介しますね。
私も意識して過ごしているのですが、これでけっこう頑張れますよ~!

仮に自分の状態を1で表した場合に、
1.01という努力(1%の向上)を積み重ねると1年後には、
1.01365乗=37.7834
約37.8という結果になり、元の1よりだいぶ大きな値になります。

逆に さぼり続けて0.99(1%の低下)を積み重ねると

0.99の365乗=0.025510.99365=0.02551
という結果になり、元の1よりも小さな値になってしまいます。
(出典:https://blog.y-yuki.net/entry/2016/12/31/190758)

はなさんのシリーズ第一弾の記事「翻訳者・通訳者になりたいけど、どこから手を付けていいかわからない方へ 」 もぜひ!併せて読んでみて下さいね。

次回は、「通訳者・翻訳者になりたいけれどどう始めたらいいかわからないあなたへ」
【其の弐:インバウンド需要増加でやってみたくなった人編】をお届けします。

お楽しみに! Good day to you!

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