こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
堀江貴文氏とカルロス・ゴーン氏のインタビュー|通訳の視点からホリエモンの英語についてるVol.3
先日、ホリエモンこと堀江貴文さんが、レバノンでカルロス・ゴーンさんと対談した様子をご自身のYouTubeチャンネルで公開し、話題になっています。
そこで、ホリエモンの英語がうまいかどうか知りたい人の為に、ホリエモンの英語がいけているのかどうか検証してみたいと思います。全体で35分という、わりと長尺の動画なので、一回ではお伝えし切れません。
今回はシリーズ第3弾です。何回かに分けてシリーズでお伝えしていますので、lこの後もどうぞお付き合いください。第1弾では「ホリエモンの英語についての印象」、第2弾では「レジスター」と「英語の敬語」という今回からの詳細解説の前におさらいしておく必要のある事柄についてお話ししています。
今回からはホリエモンの英語について、聞き起こしとともに、いよいよ具体的に詳しく見ていきます。今回はインタビューの冒頭から8分45秒あたりまでを取り上げます。
▶︎動画はこちら(インタビューの開始箇所に頭出ししてあります)
ホリエモンの英語を書き起こし解説していきます。ぜひ真似してほしいお手本になるところ、真似はお勧めしないけれど参考になるところ。後者はどこをどうすれば改善できるのか、その方法を「基礎レベルの英語でブラッシュアップ」を note.mu でご紹介しています。音声記事もあります。
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note.mu テキスト記事 英文の確認にどうぞ。
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note.mu 音声記事 発音や音の確認、音声による解説をどうぞ。
Contents
実際のホリエモンの英語(抜粋|インタビュー冒頭から08’45”)
では、堀江氏とゴーン氏のやり取りを私が書き起こししましたので、この後の流れの参考までに、ご覧ください。
How was you? How is you?
[08’45”]
【見習いたいホリエモンの表現】
- 司法制度 justice system(judicial system とも言う)
- 検察/検察官 prosecutor
日本語字幕に合わせて英語を作り替えてみると?
では、以下の順でセンテンスごとに比較してみましょう。
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堀江氏の英語(オリジナル英語)
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日本語字幕
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Google翻訳(ドライに機械翻訳にかけるとどうなるか)
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私ならどう言うか
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基礎レベル英語でブラッシュアップ
まず堀江氏の英語では、こうありました。
オリジナル英語①:You looks better. And I think you are younger than in Japan.
つぎに、日本語字幕を見るとこうなっていました。
日本語字幕①:とても元気そうです。日本にいる時よりも若く見えると思います。
日本語は丁寧な表現になっています。いささかオリジナルの英語とは合わない気がします。レジスターが合わないのですね。
試しに機械翻訳にかけてみました。行間を読むことなくドライに逐語的に訳すとどうなるか、雰囲気がつかめると思います。
Google 翻訳①:Looks very good. I think you look younger than when you are in Japan.
最初の分は主語が抜けています。
2行目の「日本にいる時より」の「いる」は、日本語ではこの形が正しいのですが、英語では本来は時制が過去形でなければなりません。
しかし、機械翻訳では日本語の文法から英語の文法へ置き換える(読み替える)ことはできなかったようです。
では、つぎに「私ならどう言うか」をご紹介・解説していきます。
ちなみに、もっと短く、基礎レベルの英語で、失礼のない言い方ができるか考えてみました。基礎英語レベルのバージョンは note.mu に掲載してあります。
私ならどう言うか①:You look very well. As it happens, you look younger than you did in Japan.
2行目に「As it happens」とワンクッション置いています。私の意図としては、文を修飾してクッション言葉として、この場合「意外かも知れないが」という意味合いで「as it happens」を噛ませました。
発言者が言ったのであれば、特別な場合を除き、通訳者が通訳しないわけにはいきませんし、かと言って発言者はコミュニケーション上のルール違反を認識していない様子です、つまり悪気がないので、意図の調整をはかる意味で全体の意味を変えてしまわない無難なクッションことばを置いたというわけです。
ここで「コミュニケーション上のルール違反」と言っているのは、相手の容姿・年齢・結婚しているか否か、子供がいるか否か、などについてコメントすることは日本(語)ほど当たり前ではありません。
「痩せたね」「太ったね」「若返ったね」などとコメントすれば、人によっては失礼だと受け取られるでしょう。あるいは本題と関係のない話をなぜしようとするのか不思議に思われたり、「余計なお世話」だとか、内心「変な人」と思われてしまうかも知れません。
挨拶早々に親しみを込めてこのようなコメントをすることが日本語では良いこと(少なくとも悪いことではない)とされているかと思いますが、欧米ではタブーです。どうしても必要な場合には、そのように理由を述べてから質問・コメントするものなので、覚えておきたいもの。
いかがでしたか。最後までお付き合いいただきありがとうございました。シリーズの第3弾でした。まだまだ続きますが、第4弾以降もどうぞお付き合いください。
基礎英語でサクッと敬語|note.mu
もっと短く、基礎レベルの英語で、失礼のない言い方ができるか考えてみました。こちらは note.mu に「基礎レベル英語でブラッシュアップ」という見出しで掲載してあります。のテキストと音声を note.mu に掲載しています。繰り返し音読したり、オーバーラッピングなどで英語の敬語表現の定着に役立ててください。
ではまた、Vol.4でまたお目にかかりましょう!