こんにちは。イギリス在住会議通訳者の平松里英(rielondon)です。
戦没者追悼記念日によせて
11月12日 戦没者追悼記念日です。
英語では Remembrance Sunday と呼ばれ、11月11日に一番近い日曜日になります。
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なぜ11月11日なのか。
第一次世界大戦が終結したのは1918年11月11日だから。
第一次・二次世界大戦の戦没者を追悼する日です。
(ちなみにアメリカでは「Veterans Day」と呼ばれているとか。)
イギリス人にとって大切な日
毎年この時期になると街頭で赤い造花のポピーを見かけます。
傷痍軍人が作ったものですが、10月に入った頃でしょうか。街頭で募金活動を見かけるようになります。イギリス人なら、この時期にケシの花をつけていない人はいないというくらいです。
もちろん英国在住の私も付けます。
夫が衛兵ということが大きな理由ですが…。
付け方はちょっとコツがいるのですが、ケシの花と一緒にピンが渡されるので、ピンをこのようにして(上の写真)コートの襟などにつけて、横向きのピンに茎の部分を通します。
勲章もそうですが、男性は自分から見て左、女性は右です。
余談ですが、ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式ではデービッド・ベッカム氏が女王から頂いた勲章をなんと右側に付けていたので恥ずかしいこととして報道されてしまいました。あとで慌てて直していたようですが…。
当日は、一部始終がテレビ中継されます。この行事は6月の「女王陛下の誕生日パレード」(正式には、Trooping the Colour = 軍旗敬礼分列式という)と並んで、重要なものです。
さて、なぜ赤いケシなのか?
赤いケシは、過酷な状況でも咲くことで知られる。第一次大戦で激戦地となったフランドル戦線。戦闘の後の悲惨な環境でも咲くことができたのはケシの花くらいだった。戦争を終えた土地には一面に咲き乱れるケシの花があったそうです。
大変多くの犠牲を出した戦いとしては、昨年は、2日間で6万人もの兵士が犠牲となったソンムの戦い(フランス)の100周年でもありました。
この赤いケシ、カナダ人の軍医、ジョン・マクレー(John McCrae)が『フランダースの野に』(Flanders Fields)という詩の中で詠んだことが始まりだったそうです。これは戦いで散っていった兵士たち(the fallen)の多大なる犠牲と同志たちの愛を表すシンボルとなりました。(日本では桜の花ですね)
英国在郷軍人会連盟(Royal British Legion)の発足以来、ケシの花運動(Poppy Appeal)として毎年、イギリス軍(British Armed Forces)つまり陸・海・空軍ほか退役軍人などを含みます。
ただ歴史を振り返る日ではない
ここで弔いと支援の対象となるのは、じつは第一次・第二次世界大戦の犠牲者だけではありません。
それ以降のすべての戦争、紛争に赴いた戦没者たち、そしてその家族も。
過去のものではない、現代のものなのです。ここが日本などの終戦記念日とは大きく異なる点だと思います。私の周りでも友人を亡くしたベテランの兵士(司令官級)や若い兵士がいます。
当日のテレビの特集でも存命のベテラン軍人たちだけでなく、現役・退役の軍人と家族たちが老若男女映し出されます。Remembrance Sundayはまったくもって、過去のことに思いを馳せる日という感じではありません。現在も、そして悲しいことにこれからも「今起きていること」なのです。
Lest we forget.(我ら 忘れまじ)
#RemembranceSunday #PoppyAppeal
(Photo: courtesy of The Telegraph)